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Entanglement/量子もつれ

Entanglement/量子もつれ

ここまでは波とその重ね合わせや干渉など、測定の話を除けばどれも古典物理の話題について学習してきました。そしてn量子ビットは2nのエントリの状態ベクトルで表せることもみてきました。ここからはいよいよ、あっと驚くような量子現象についてみていくことにしましょう。まずは量子もつれという現象について紹介していきます。実はこの現象を巡って過去には、かのアルバートアインシュタインが量子力学の不完全性を主張したほど彼を悩ませた理論としても有名です。

ベル状態

この動画ではベル状態という概念について詳しく紹介しています。ベル状態というのは量子もつれの状態の中でもっとも基本的は状態のことをさします。実は以前紹介した(frac{|01rangle + |10rangle}{sqrt{2}})という状態もベル状態の一つでした。

量子ビットは数値と位相の2つの特徴によって決まります。上記のベル状態は数値は逆(片方が0ならばもう一方は1)で位相は同じです。これに対して、数値位相同じ、数値は同じだが位相が逆という状態ももちろん存在します。整理するとベルペアは以下の4種類に分けることができます。その4種類はそれぞれ以下のように表現されます。

[|Psi^+rangle = frac{|01rangle+|10rangle}{sqrt{2}}] [|Psi^-rangle = frac{|01rangle+(pi)|10rangle}{sqrt{2}}] [|Phi^+rangle = frac{|00rangle+|11rangle}{sqrt{2}}] [|Phi^-rangle = frac{|00rangle+(pi)|11rangle}{sqrt{2}}]

実証実験

量子もつれの存在を確認する実験はJohn Bellによって提唱された方程式にちなんで、ベルテストベルの不等実験などと呼ばれています(最近はこれとは異なる数理で実験されることも多いです)。最初の実証実験はFreedmanとClauserによって1972年に行われました。他にも1981年にAspect、Grangier、Rogerが行った実験も有名です。過去30年の間で繰り返しこうした実験と改善が行われてきました。

2015年には様々な大学で素晴らしい成果が報告されています。以下に実験について紹介した記事のリンクを掲載しておきます。

ウィキペディアにも過去40年間に渡るベルテストについて詳しく掲載されています。

テレポーテーション

量子もつれの最も重要な応用の一つに量子テレポーテーションというものがあります。このテレポーテーションというのは実際に物質が瞬間移動するのではなく、ある地点で量子ビットが崩壊し、別の地点で同じ情報を持った量子ビットとして再生成されるという原理で、ここに量子もつれが用いられています。

ある情報をテレポートさせるためには、まず情報の送受信をしたい2人の間でベル状態の量子をあらかじめ共有しておく必要があります(この2人は慣習的にアリスとボブと呼ばれます)。そしてアリスは送信したい情報としての量子ビットを別で持っています。

アリスは彼女が持っている2つの量子ビット(送信したいデータとしての量子ビットとボブとあらかじめ共有しておいたベルペア量子ビット)をベル測定という特別な方法で一緒に測定します。測定によって当然アリスが持っていたベルペア量子ビットも送信したいデータとしての量子ビットの重ね合わせ状態も壊れてしまいます。

このベル測定によってアリスは2ビットの情報を得ることができます。一方でボブのベルペア量子ビットのもう一方が残されている状態になります。アリスが得た2ビットの情報を古典通信などでボブに送信し、ボブはその情報に基づいて彼の持つベルペア量子ビットにある処理を施すと、なんとこの量子ビットはアリスが送信したかったデータ量子ビットと同じ状態に再構成されるのです。こうしてデータはアリスからボブの元へテレポートしたことになります。

動画の中でも量子もつれ状態の量子ビットが遠距離でも情報を共有する(ただし光速以下で)という性質について紹介しています。なぜこのように古典データを送信する必要があり、なぜボブの側でデータを再構成するのにそのデータを使わなければならないのでしょうか?仮にボブがアリスからの古典2ビットをの受信を待たずに自分のベルペア量子ビットを測定してしまった場合、単にその量子ビットの存在確率から得られる結果になってしまいます。受信した(暗号を複合するための鍵のような役割をもつ)2ビットの情報を元に処理を施すことで初めてボブの持つ量子ビットはアリスが送信したかったデータとして振る舞うようになります。

量子テレポーテーションは量子ネットワークにおける最も基礎的な技術であり、ある特定の種類の量子コンピューティングによって執り行われます。このコース内ではテレポーテーションについての知識はこのぐらいで十分ですが、この技術の凄まじさを少しでもご理解いただけたでしょうか。

This article is from the free online

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