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切り貼りによる加工

切り貼りによる加工

日本の書物に用いられた紙の装飾は、平安時代の12世紀に最高潮に達しました。莫大な富が一部の為政者たちのもとに集中し、経費を気にせずに美しさと豪華さが追及されたからにほかなりません。

書物装飾のあり方は、政治史や経済史とも関連しているのです。そうした12世紀の最も豪華であった装飾紙に用いられた技法である、複数の紙を繋ぎ合わせる技法について説明します。それらは繋ぎ部分の形状から3種類に分かれます。すなわち切り継(きりつぎ)、破り継(やぶりつぎ)、重ね継(かさねつぎ)の3種です。

切り継の例

切り継(きりつぎ)は、色や模様等が異なる紙を直線的に切って台紙に貼り合わせる技法です。三種類の中では最も簡単な技法で、平安時代にあこがれた17世紀の書物でも時折見かけることがあります。

西本願寺本三十六人集 能宣集(よしのぶしゅう)

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©36poets Collection Yoshinobu, 03:45, 7 April 2012, in Wikipedia.

右上の緑色の部分が直線的に他の紙と継がれている部分

破り継の例

破り継(やぶりつぎ) は、繋ぎ合わせる部分が、あたかも紙を破ったかのようにぎざぎざになっているもので、曲線的なものが目立ちます。やはり17世紀にまねをしたものがありますが、曲線が刃物で切り取ったようになっており、平安時代のものとは随分異なっています。

西本願寺本三十六人集 元輔集(もとすけしゅう)

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©36poets collection MOTOSUKE, 09:09, 9 March 2016, in Wikipedia.

重ね継の例

重ね継(かさねつぎ) は、破り継の発展形ともいえるもので、破り継が2枚で行うのに対して、色の異なる3枚以上の紙を同じ形に破って、平安時代の女性の装束として有名な、十二単(じゅうにひとえ)の襟元の様に、少しづつずらして貼り重ねる技法です。高度な技法であり極めて珍しいもので、西本願寺本三十六人集が孤例と言えそうです。

西本願寺本三十六人集 能宣集(よしのぶしゅう)

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©36poets collection MOTOSUKE, 09:09, 9 March 2016, in Wikipedia.

下部中央の濃茶色の紙の境目部分は、色が少しずつ異なる紙が何枚も重ねられている。中央の赤い色の上部も同様になっている。これら部分が重継の技法が用いられた箇所である。

ともかくどれも大変珍しいものなので、ビデオでは17世紀にこの技法をまねた例を御紹介します。

ビデオで紹介されている書物

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古書から読み解く日本の文化: 和本を彩る和紙の世界

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