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絵入り綴葉装の登場

絵入り綴葉装の登場

17世紀中頃から登場するのが、より格の高い綴葉装の絵入り本です。それらは、非常に美しく高品質です。まずは以下のテキストを読み、次に、佐々木教授がこれらの説明をされている様子を、ビデオでご覧ください。

絵入り袋綴に遅れて17世紀中頃から登場するのが、袋綴よりも格の高い綴葉装の絵入り本です。冊子に絵を入れることに対する抵抗感を、絵入り袋綴本の普及が薄めた結果と見ることができるでしょう。また絵入り綴葉装の表紙を始めとする仕立てが、綴葉装の嫁入本と共通することからすると、これらも嫁入り本として製作されるようになったと考えられるのです。絵入袋綴本の特に横本のものが、文字や絵がやや稚拙な印象が強いのに対し、絵入り綴葉装は、料紙が上質であることはもちろんとして、文字も絵もより高い専門性が感じられるものが多く、高級な絵入り本であったことは確かであると思われます。この絵入り綴葉装の登場をもって、冊子には絵を入れないという慣例が完全に忘れさられたと断言してよいでしょう。

この絵入綴葉装は四半本が大半で、六半本は見かけることがありません。この2つの例、『文殊姫』(図1)と『たなばた』(図2)は、前者が 17.9×23.8cm、後者が 18.1×24.2cmと、綴葉装としては通常の大きさです。

Monjuhime 図1. 文殊姫
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Tanabata 図2. たなばた(雨わかみこ)
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また希な例ですが、八半のものや、更に小さなものも現存しており、それらもみな縦型本であることは共通しています。この本『源氏物語』(図3)は、17世紀の女性絵本作家として最近注目を集めている「居初(いそめ)つな」が文字も絵も書いたもので、4.6×6.0cmと大変小さなものです。居初つなは通常の大きさのものの他、小型のものも少なからず手がけていますが、これはその中でも取り分け小さなものとして注目できるものです。

Genji monogatari 図3. 源氏物語
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ビデオで紹介された書籍

1. 中しやう姫 2. ふんしやう 3. 源氏物語・花散里 4. 敦忠集
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古書から読み解く日本の文化: 和本の世界

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