基本的な装訂の種類5 – 袋綴

このステップでは、袋綴（ふくろとじ）について学んでいきます。以下のテキストを読んだ後、佐々木教授のお話をビデオでご覧ください。

5. 袋綴（ふくろとじ）

^{図1. 袋綴（単位：冊）}

数的には圧倒的多数を占めるのが袋綴です。中国や朝鮮半島の版本で用いられたもので、中国では「線装（せんそう）」と呼ばれています。紙を縦に山折りして重ね、折り目の反対側で紙縒（こより）などを用いて仮綴じし、表紙を付けて糸で綴じる装訂法です。

^{図2. 平家物語
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片面だけの書写・印刷となるので、薄い紙を用いるのが普通です。古い時代のものは手紙など一度用いた紙の裏側を利用して作られたものが目立ちます。

^{図3. 長六文
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13世紀には存在していますが、綴葉装より簡便な方法として、室町時代の15世紀くらいから広く用いられる様になり、江戸時代の17世紀に商業出版が確立すると、大量に作られるようになって、写本においても普通に用いられるようになりました。猶、表紙を付さない状態のものを仮綴（本）（かりとじ（ぼん））と言います。

^{左：図4. 六韜
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右：図5. 僻案抄
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また、下辺に折り目がくるように重ねて右辺を綴じたものを長帳綴（ながちょうとじ）と呼びます。

^{図6. 傾城禁短気
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これはやや特殊なもので、袋綴の数え方の単位は「冊」です。冊は粘葉装や綴葉装にも用いる人もいますが、一番ありふれた袋綴と区別できるように、「帖」を用いるのが望ましいと思います。