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大乗仏教

大乗仏教

東洋の書籍文化の来し方を振り返る時、大乗仏典 の普及を抜きにして語ることはできません。しかし、本題に入る前に、ビデオをご覧いただき、そもそも本とはどのような役割があるのか?ということについて考えてみましょう。

住吉教授は、 江戸時代 の初期(17世紀)、中期(18世紀)、後期(19世紀)と、200年の時を超えて出版されたまったく同じ内容の本を例に示して、その意味について語りかけます。

ビデオで紹介された書籍

Three "Shijing" books 「詩経」 左:江戸時代後期(1865) ・中央:江戸時代中期(1791) ・右:江戸時代初期 (1664)

※詩経は中国最古の詩集とされ、紀元前11世紀から紀元前7世紀にかけて創作された300以上の様々な種類の詩が収められています。有名なものに花嫁のための詩「桃夭」があります。中国の書籍の内容に関しては、第2週以降で詳しく解説されていきます。

大乗仏教

さて、東洋の書籍文化の来し方を振り返る時、大乗仏典の普及を抜きにして語ることはできません。

西暦の紀元前後にインド北西部で発達した大乗仏教は、中央アジアを故郷とするインドのクシャーン王朝と、東方の後漢帝国(25-220 C.E.)との出会いを背景として、インド世界から中国へと伝わります。この現象を「仏法東漸」といい、世界史上の大事件として記憶されています。(fig.2, fig.3)

Old temple in Kucha Fig. 1. クチャ・キジル石窟寺院(EXPEDITION SILK ROAD展図録) [Take a closer look]

Ho-tan Shutsudo Fig. 2. ホータン出土・ロシア科学アカデミー/樺皮写本・法句経(シルクロード文字を辿って展図録)[Take a closer look]

それがなぜ大事件であったのかと言えば、単に宗教史の問題のみではなく、その後、東洋の広域に展開する仏教文化を産み出したからです。仏教文化が日本人の生活に、現に様々の影響を及ぼしていることは、言うまでもありませんが、実は、書籍文化もその大きな力を受けています。具体的には、「お経」の普及が、東洋の書籍の発達と流通を、強く促してきました。(fig.3)

Shukeisou Fig. 3. •取経僧(シルクロード大美術展・EXPEDITION SILK ROAD展図録) [Take a closer look]

お経と言えば、何も大乗仏典に限らず、各種の仏典を総称する言葉です。ここに大乗と強調する理由は、大乗仏教が、経典の普及に高い意識をもった教えであったからです。例えば、大乗仏典を代表する「妙法蓮華経」には、その経巻を受持、読誦、解説、書写し供養することが、繰り返し勧められています。大乗仏教は、当初から、経巻を複製するよう信徒に求め、経典を拠り所とする教えの普及を、構想していたのです。そして実際にこの構想は、仏典の漢訳された中国とその周辺で、絶大な効力を発揮しました。

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古書から読み解く日本の文化: 漢籍の受容

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