Skip main navigation

Get 30% off one whole year of Unlimited learning. Subscribe for just £249.99 £174.99. T&Cs apply

コレクションとコミュニティ

コミュニティ・コレクションとは何でしょうか?
このコースのテーマは、コミュニティと、そのコミュニティが形成したコレクションについて考えることです。まず、コミュニティとコミュニティ・コレクションについて確認してみましょう。

コミュニティとは?

コミュニティという概念は、非常に多義的です。ためしに、「コミュニティ」と聞いて思い浮かぶ対象を書き留めてみてください。おそらく、このコースを受講するみなさん一人一人ごとに、思い浮かべるコミュニティを構成する要素や意味は異なるのではないでしょうか。自然に関わるものなのか、人間に関わるものなのか。所与のものか、参加するものか。地域、職業、宗教、家族、知的関心、経済的、政治的、言語、年齢・・・様々なコミュニティが想定されます。

コミュニティの意味するところについては、さまざまな学問領域で沢山の議論が行われていますが、このコースでは、「実践共同体」概念を提唱したレイヴとウェンガーの議論(『状況に埋め込まれた学習 正統的周辺参加』1993年)を参照し、「『自分たちが何をしているか、またそれが自分たちの生き方と共同体にとってどういう意味があるかについての共通利害がある活動システムへの参加』が生み出す集団」をコミュニティと考えたいと思います。

日本でコミュニティ・アーカイヴについて実践と研究を行っている(そしてこのコースにもゲストとして登場する)佐藤知久さんは、このコミュニティの考え方を、「〈同じなにか〉を共通に使って活動している人たちをコミュニティと呼ぼう」(『コミュニティ・アーカイブをつくろう!』2018年)と、かみ砕いて言い換えています。このような大きな枠組みを用いることによって、このコースを通じて、さまざまなコミュニティにおけるコレクションをめぐる実践を繋ぐことができるのではないかと考えています。

コミュニティのコレクション

では、コミュニティのコレクションにはどのような特徴があるのでしょうか。前のステップで確認したコレクションの定義に照らし合わせると、コミュニティが主体となり、特定の意図や基準に基づいて収集した有形物・無形物の集合体がコミュニティ・コレクションである、ということになります。

みなさんが参加しているコミュニティのコレクションを思い浮かべてみてください。さまざまなモノが収集されているのではないかと思います。

ミュージアムのコレクション定義では、収集物の分類や体系化が重視されていましたが、コミュニティ・コレクションには、必ずしも体系的な分類に当てはまらないもの、周辺的なもの、あるいは余剰なものも含まれているのではないでしょうか。

意識的な収集活動によって集められたものだけではなく、コミュニティが活動していく中で、自然と蓄積されたもの、その活動の痕跡ともいえるものがコレクションを形成しているのです。

これは、アーカイヴの資料群に近い特徴です。アーカイヴの資料群は「特定の人物や家族、あるいは法人が活動し機能する過程において、組織的に作成(もしくは)蓄積し使用した、形状や媒体にかかわらない記録の総体」と定義されます(International Council of Archives, Principles of Access to Archives, 2013)。

アーカイヴでは、モノ同士を繋ぐオリジナルのコンテクストが重視され、個々のモノの持つ意味に加えて、集合体としてのモノがまた別の意味を持つと考えられています。

このように考えると、コミュニティ・コレクションは、アーカイヴの資料群と、ミュージアムのコレクションの中間的な存在であると捉えることができます。

見えないものと私たちを仲介するコレクション

意図をもって収集されたモノと、コミュニティの現在と過去の活動の痕跡を合わせ持つコミュニティ・コレクションは、コミュニティが活動する/してきた時間と空間を内包する、非常にダイナミックなコレクションです。

長い時間をかけて蓄積されたコミュニティ・コレクションには、コミュニティの過去—いまはもう目の前にない活動や人々に関わるモノが保存されています。歴史家クシシトフ・ポミアンは、コレクションを構成する品物は、「見物人と彼らがそこにはいない世界の住人の間の仲介物の役割を演じることを可能にする」ものだと述べています(Pomian, Krzysztof. 1991. Collectors and Curiosities. Polity.)。つまり、いま見えないものと私たちを仲介するものがコレクションであるということです。社会状況がかつてない速さで変化していく現代においては、いまの自分の活動を形成した価値観、文化、習慣、教育などが、現実の社会の中で存在し続けるとは限りません。コミュニティに蓄積されたコレクションは、そんなときに、自分のコンテクストを振り返り確認することを助けてくれます。自分を形作る、もう過ぎ去ってしまって目には見えないさまざまな過去の活動や人々と、コレクションを通じて再び繋がることができるのです。

This article is from the free online

大学ミュージアムにおける創造的「空き地」の実践:コレクション・マネジメントへの新しいアプローチ

Created by
FutureLearn - Learning For Life

Reach your personal and professional goals

Unlock access to hundreds of expert online courses and degrees from top universities and educators to gain accredited qualifications and professional CV-building certificates.

Join over 18 million learners to launch, switch or build upon your career, all at your own pace, across a wide range of topic areas.

Start Learning now