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「空き地」 – 共有を実践する場

エデュケーターの渡辺と本間が「空き地」のコンセプトについて紹介します。
Homma and Watanabe
創造的「空き地」とは何でしょうか?このコンセプトは、コミュニティ・コレクションの課題解決にどのように有効なのでしょうか?創造的「空き地」のコンセプトについてディスカッションしましょう。

本間:
このステップでは、私たちが提案する、創造的「空き地」というモデルについて説明していきたいと思います。

渡部:
「空き地」というのは一体何なのか考えるにあたっては、まず子供の頃の遊び場の空き地を思い浮かべてみるとわかりやすいかと思います。公園のように遊具などがセットされてはいない。しかし、道路で遊ぶようには危険ではない場所ですよね。しかも誰かのものではなくて、みんなのもの、共有されている場です。フル・パブリックでも完全にプライベートでもない、共有の場ということができます。そこには、「空き地の仲間」というような、明確ではない、緩やかなメンバーシップがあります。閉じた集団ではないし、出入りが可能だけれど、顔見知り感がある集団を形成しています。

「空き地」の特徴の中で、いま私たちが考えているコミュニティ・コレクションの問題にとりわけ有効だと考えられるのは、次の2つのポイントです。まず、目的が設定されていない、という点です。その時々のメンバー、その時にある道具やモノで、その日の遊びは工夫されて展開します。各々が持っているリソースを共有して、その共有に基づいて創意工夫が生まれて行く場ということができます。次に、共有の場であるが、参加者の自立性が尊重される点です。大方のメンバーが行っている遊びに参加しないで、1人で遊んでいることも可能です。空き地では、共同的な面もあると同時に、参加者がそれぞれに持っている背景やコンテクストは尊重される。無理矢理な同化が求められることがない場でもあります。

本間:
Homma
前のステップで、コミュニティ自身の変化に合わせて、コミュニティとコレクションの関係を繋ぎ直すためには、人々の関係性の中にコレクションを置いてみることが必要、という話をしました。「空き地」のもつ、この2つの特徴が有効に機能するということなんでしょうか。

渡部:
「空き地」をモデルとして、コレクションに関わる活動を考えてみると、コレクションそのものや、それに付随する知的なリソースなどをそこに集うメンバーと共有しながら、さまざまな遊びを、その時々に作っていくようなイメージになります。ここで重要なのは、形が定まったスポーツの様にルールやフィールドなどが確定しているのではなく、その時々のテンポラリーな遊びが出現していく、というところです。つまり、自分の本来的な活動や元々のコミュニティの自律性を侵害されることはなく、そこに参加することができる。しかも新しい出会いがあり、創造的でもあるということです。それは、空き地で展開するゲームに自らをアジャストする形で迎合する必要がないと同時に、自分の/自分たちの何かを提供しないと何も始まらないということでもあります。「空き地」ではしばしば、自分の宝物を見せて、共有したり、それを軸に遊びが展開したりします。自分たちのコレクションを開示し、それが外部に開かれていく場として「空き地」が機能するわけです。
さらに、そこで遊びに参加した人たちは、本来自分が属しているのではない他のコミュニティのコレクションに対して、接点を見出して共有していくことになります。

本間:
空き地での活動で、コミュニティの内部に留まっていたコレクションや、それにまつわる様々なリソースを共有するというのがポイントになりそうですね。空き地での遊び、活動というのは、なにか特別なものなのでしょうか。

渡部:
Watanabe
「空いている」そして「場所がある」のが「空き地」です。そして、そこでの活動が決められているのではなく、何かができる、起こる場所がある、ということになります。その意味で、「空き地」的な活動は、「空き地」がないと生まれないのではなく、色々な活動を「空き地」的な考え方で捉え直すことを意味しているともいえます。展覧会やラーニング、コレクションをめぐる活動をこれまでとは違った方向性から捉え直していくことができるのではないでしょうか。「空き地」で宝物を見せ合う、という例をあげましたが、それをコレクションとその中のアイテムとして考えると、別にそのアイテムはコレクションの中にいつもあるものなわけです。でも、それを持って行ってあるメンバーや機会に見せる、そこから何かの遊びが始まるということによって、新しい光がそのアイテムに当てられるということになります。そこから、「あれ、自分のもっているモノはこういう風に空き地で使えるかも」「家にずっとある、あの道具、空き地でみんなで使えば面白い遊びができるかも」と思いつき、持って行く。もしかしたら、そこでは想定とは違う遊びが展開するかもしれない、そこに別の人が持ってきたモノが接続して、予想外の方向に発展してくかもしれない。このようなことが起こるのが「空き地」的活動かなと思います。それは、コレクションについていうならば、自分たちが抱えているものの中に、外に繋がっていく豊かな接点を見出し、ワクワクする、予想外の展開に拡がることをも楽しむ、ということではないでしょうか。

本間:
KeMCoでは、今回紹介した「空き地」というコンセプトに基づいて、さまざまな活動を展開しています。次週からは、KeMCoの実践を例に用いながら、「空き地」的な活動のありかたがコミュニティ・コレクションになにをもたらすのか、みなさんと見ていきたいと思います。

This article is from the free online

大学ミュージアムにおける創造的「空き地」の実践:コレクション・マネジメントへの新しいアプローチ

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