Skip main navigation

New offer! Get 30% off one whole year of Unlimited learning. Subscribe for just £249.99 £174.99. T&Cs apply

「空き地」でコレクションと遊ぶ

大学コレクションを教育に生かす方法として注目されている「オブジェクト・ベースド・ラーニング」について学びましょう。
KeMCo practices object-based learning
私たちのコレクションは展示に使われるだけでなく、大学での教育や学びにも積極的に活用されています。教育現場におけるコレクションの役割とは何でしょうか?

大学のコレクションは、多様な経緯で大学に着地し、その活用もさまざまな形でなされます。その中でもコレクションを教育と接続して、利用することには長い歴史があります。

大学コレクションを教育に生かす:Object-based Learning(OBL)

近年、新しく、大学コレクションを教育に生かす方法として注目されているものの1つがオブジェクト・ベースト・ラーニングです。もともとミュージアムでの学習として、初等・中等教育で用いられてきた方法論ですが、近年、大学ミュージアム・コレクションの新たな教育利用の方法論として、活用され始めています。KeMCoでは、教育におけるコレクションの利用について、「空き地」のモデルをもとにリフレームし、共有を進めていく方法を探っています。そのような観点から、オブジェクト・ベースト・ラーニングを実践しています。

KeMCoでの実践

オブジェクト・ベースト・ラーニングは、オブジェクト(モノ)に対して、学び手(learner)が直接に接し、オブジェクトを読み込んでいくアクティブ・ラーニングの方法論の1つです。そこでは視覚はもちろんのこと、触覚や嗅覚など色々な感覚が動員されて学びが実現していきます。その対象は、芸術作品に限らず、科学標本や工業製品などオブジェクトであれば、基本的に何でも対象とすることができます。それに応じて、実施方法も適する形が工夫されています。

KeMCoでは、イギリスのオブジェクト・ベースト・ラーニングの主導者の1人、Judy Willcocks(Central St. Martins Collage of Art, London) によるワークシート(”How to Read an Object?”)をベースとして実践を行っています。アート・スクールのアーキビストであるWillcocks氏によるシートは芸術作品(コレクション)を対象の基本として、記述、推論、仮説の3段階を経て、作品を学び手が直接読み込むことを導くものです。

OBL Sheet
Worksheet (c)Judy Willcocks, Central Saint Martins, 2014 拡大して見る

例えば、私たちが展覧会で作品を見るとき、それは展覧会という仕組みの中で、キュレーションされた形で見ているということができます。OBLで展開するのは、その作品を、今一度そのような文脈から取り外し、モノそのものとして、接し、見て、読んでいこうとする作業です。展覧会では、誰が作った何という作品か(作家名、作品名)を、最初の情報として鑑賞者は手にしますが、このワークでは、まず自分がモノを目の前にしてそこから引き出せる情報から出発します。それゆえ、作家名や作品名のような情報は最初の「記述」の段階ではなく、次の「推論」の段階になって初めて出てきます。私たちは作品を自分の目で見て、捉えることよりも先に付随的な情報から出発してしまっていることを改めて知らされ、新しく自分なりに作品に出会うことになるわけです。

OBL class

Object-based Learning の実践から見出されるもの

このようなOBLの実践を通して出てきた大切なポイントが2つあります。第一には、この方法論を用いることによって、対象としているモノ(作品)の作り手の身振りを学び手が感じ取ることができる、という点です。作り手を生き生きと思い描けるということは、そのモノ(作品)に近づく大きな手がかりを得ることに他なりません。第二に、学び手のバックグランドやモノを捉える傾向が現れ出ることです。これは、学び手が自分自身のモノの見方や感じ方を知ることにつながり、それをベースとして、他者とのディスカッションや共有に道を開くことになります。

OBLが行われている教室で、参加者がモノを囲み、意見を交わし合う姿は、空き地で見つけた宝物をみんなで見て語り合う姿にも似ています。あらかじめ学ぶことが決まっていて、そのためにモノを用いるのではなく、目の前にあるモノが、自分に何を語るのかをまず考えて、それを共有してみる。このようなOBLの実践によって、これまでと異なる、新たな、そして様々なコレクション解釈が行われる可能性が開かれます。様々な参加者が主体的に関わる学びの場で、コレクションを共有することは、コレクションの多面性を明らかにする機会ともなるのです。

次のステップでは、KeMCoでのOBLの実践を見ていきます。

This article is from the free online

大学ミュージアムにおける創造的「空き地」の実践:コレクション・マネジメントへの新しいアプローチ

Created by
FutureLearn - Learning For Life

Reach your personal and professional goals

Unlock access to hundreds of expert online courses and degrees from top universities and educators to gain accredited qualifications and professional CV-building certificates.

Join over 18 million learners to launch, switch or build upon your career, all at your own pace, across a wide range of topic areas.

Start Learning now