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Sheer Curiosity/純粋な好奇心

Sheer Curiosity/純粋な好奇心
量子コンピュータを作る最後のモチベーションは、もっとも基本的なものです。それは、純粋な好奇心です。

テキサス大学(テキサス州オースティン)の教授、スコット・アーランソンは2004年に彼の博士論文でこのように述べています。

私が量子計算について気になる理由は、量子計算が20世紀から残されている2つの大きな謎を結びつけているからです。 それは、量子力学の性質と、計算の最終的な限界です。 2つの謎の間の要素的なつながりが、どちらかもしくは両方の謎に新しい光を当てるのであれば、それは驚くべきことです。

量子計算と量子情報は、20世紀前半の量子力学と、物体の動きを光の速度以下に制限する特殊相対性理論との間に、明らかな矛盾が存在しているという不満に始まります。 不満を持っていたアルベルト・アインシュタイン、ボリス・ポドルスキー、ネイサン・ローゼンは、2つの量子が距離にかかわらず瞬間的に相互作用を起こすという事実を強調する思考実験を提案しました。 1960年代、ジョン・ベルはこれが起こるかどうかの統計的テストを提案しました。

1980年代、リチャード・ファインマン、デイヴィッド・ドイチュ、ポール・ベニオフ、チャールズ・ベネットなどの重要な思想家は、私たちの宇宙を支配する方程式がどのように「なにが効率的に計算できて何が効率的に計算できないのか」に影響するか理解しようという、純粋な知的好奇心を満たす練習問題として量子計算は始まりました。

同時に、デービッド・ワインランド、セルジュ・アロシュ、アラン・アスペなどの実験物理学者たちは、個々の原子、電子、光子、微量の電流を制御・操作する能力の限界を向上させていました。 彼らは精密な原子時計やその他の測定装置を構築して、基本的な物理に関する理論的予測をテストした後、量子コンピュータを構築する方法の研究に移っていきました。

ベルの理論と、それを裏付ける厳格な一連の実験技術の進歩のおかげで、我々は情報が光よりも速く進むことができないことを理解しています。 なぜ、どのようにアインシュタインの「不気味な遠隔作用(spooky action at a distance)」が起きるのかという問いの正確な解は、量子力学の基礎理論では未解決ですが、私たちはこのコースの後半でこの「量子もつれ」について更に詳しく学んでいきます。

このように、量子コンピュータを構築することは、それ自体が魅力的で重要な科学的実験であるともいえます。 この過程で、人類は確実に新しいことを学ぶことができるはずです。

© Keio University
This article is from the free online

量子コンピュータ入門

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