Skip main navigation

New offer! Get 30% off one whole year of Unlimited learning. Subscribe for just £249.99 £174.99. New subscribers only. T&Cs apply

Find out more

Decoherence/デコヒーレンス

Decoherence/デコヒーレンス
量子コンピュータの未来は輝かしいものではありますが、もちろんいくつか欠点もあいます。 完璧な量子コンピュータを作るのはとても難しいのです。

量子ビットを制御したり測定したりする際に起こり得る小さな失敗や、また全ての意図せざる量子ビットと外部環境との相互作用が、量子状態にダメージを与えます。 このようなデコヒーレンスは、量子ビットの0や1の状態だけではなく、位相の状態にも影響を与え、さらには、正しい干渉を作ることができなくなるという現象につながります。そのことは量子アルゴリズムの精度にも大きく影響してきます。

制御

個々の電子や原子、光子を操作したり測定するために必要な技術は、精確かつ高精度である必要があります。 多くの場合は、それらの仕組みは非常に複雑です。 たとえば、超電導量子ビットを制御するための信号は、丁寧に構成されたマイクロ波パルスだったりします。 また、原子を制御するための信号も高精度のレーザーパルスが必要です。 例えば、レーザーがほんのちょっとでも予定より長く当てられてしまうと、単一量子ビットは過大に回転してしまいます。 例えば、(pi)の回転を仮定した操作であるのにもかかわらず、(1.03pi)の回転がかかってしまうことになります。結果として、量子ビットの測定に失敗する確率をあげてしまったり、もっと深刻な状態では、たった1量子ビットのエラーが量子アルゴリズムを実行する課程で、他の量子ビットにもどんどん波及していくことがあります。

隔離

量子ビットは外部環境から適切に隔離される必要があります。 光やマイクロ波、磁場を量子ビットの制御に使うとして、いかなる浮遊信号も量子状態にダメージを与えます。 例えば、物体をラジオ波から隔離するには、ファラデーケージという導電性の金属でできた殻で信号を吸収することができます。 ですが、どれだけ頑張ったとしても、微量のラジオ波は漏れ入ってしまいます。 さらに、量子系によっては研究室の1km先を走る電車によって生じた干渉でさえ検知できるほど繊細なものもあるのです。

量子系の適切な隔離なしには、情報が系の外に漏れ出すこともあります。 それによって量子ビットがうっかり環境によって測定されたり、環境と量子もつれ状態になってしまったりするかもしれません。 最悪の場合では、これによって量子ビットの重ね合わせや量子もつれが壊れてしまい、ランダムでノイズの多い古典データしか残らなくなってしまうこともあります。

様々な物理技術が量子ビットを作るためには、それぞれ別の制御技術が使われるため、どのような種類の外部干渉に弱いかについても様々です。制御を施すのが簡単な量子ビットは、残念ながら外部からの影響にも弱いという、トレードオフの関係が根本にあります。

正しい言葉を使おう: 純粋状態と混合状態

混乱を最小限に留めるには、エラーについて適切な言葉を使うことが大事です。 物理学者は、特定の用語についてそれぞれ決まった意味を持たせています。 しかし、それらは言葉の日常的な意味と常に同じであるわけではありません。

私たちは、これまで重ね合わせ状態と量子もつれ状態について説明してきました。 ここでデコヒーレンスに関する議論をするまで、量子コンピュータは完全に正しく動くということを想定してきました。 エラーが無い場合では、これまで説明してきたような状態は全て純粋状態と呼ばれます。 もしも、ある状態がエラーを含んでいるかもしれない場合は、混合状態と呼ばれています。 重ね合わせや量子もつれ状態も「混合」状態の一種ではないのか?と思うかもしれませんが、用語としては正しくありません。

混合状態のうちある部分は、忠実度(Fidelity)という指数で説明することができます。 忠実度とは、生成した量子状態が、作りたい理想的な状態と同一である確率のことです。作りたい状態が(vert0rangle)のようなシンプルな状態か、それとも((vert0rangle +vert1rangle)/sqrt{2})のような複雑な状態であるかということは関係ありません。

忠実度は0.0から1.0 の間の値をとります。(F = 1.0) であるときは、量子コンピュータが完璧に動いているということを意味します。 単一の量子ビットに関しては、(F = 0.5)のとき、50%の確率で量子ビットが期待通りの状態をとっており、50%の確率で誤った状態をとっていることになります。 この場合、量子状態は完全にランダムです。 そのような状態は完全な混合状態であると言われます。

2つ以上の量子ビットに対しては、(F)は全ての量子ビットが量子アルゴリズムを実行した際に期待通りの値をとる確率となります。2つの量子ビット場合でいえば、完全な混合状態は、(F = 0.25)で、3つの場合の完全な混合状態は、(F = 0.125)となります。

デコヒーレンスと誤り訂正については、コースの後半でより詳しく説明します。

© Keio University
This article is from the free online

量子コンピュータ入門

Created by
FutureLearn - Learning For Life

Reach your personal and professional goals

Unlock access to hundreds of expert online courses and degrees from top universities and educators to gain accredited qualifications and professional CV-building certificates.

Join over 18 million learners to launch, switch or build upon your career, all at your own pace, across a wide range of topic areas.

Start Learning now