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Quantum Chemistry/量子化学

Quantum Chemistry/量子化学
The variational quantum eigensolver (VQE) alternates classical and quantum computations.
© Keio University

分子を正確に記述するためには、原子の距離や、結合の強さ、(電子を共有することで、強い結合を実現しています)原子同士の位置、振動の仕方などを理解しなくてはなりません。これらを理解するためには、分子内の原子がエネルギーを吸収または放出するときに何が起こっているかを理解し、エネルギーの最小単位(基底状態)を見つける必要があります。これらの問に正確に答えるということは、指数関数的に増加する数の項を持つ方程式を、要求する精度の中で解くということに等しく、電子や原子の数に大きく影響を受けます。このような計算は、古典コンピュータにとっては、必要な計算を冗長なものとしてしまうのに対して、量子コンピュータにとっては非常に理想的に計算が可能となるのです。

基本的な問題

最も基本的な量子化学の問題は、分子の電気的基底状態(E_G)を幾何学的に発見するというものです。直感的に、基底状態というのは、分子に余計なエネルギーが働いていない間は時間によって変化しないものと捉えることができます。これにより化学者は、分子の理想的な形を特定し、それにより、他の分子とどのように関係しあっているかということに、次々と影響を与えています。

このエネルギーを発見するために、体系のハミルトニアンと呼ばれる、エネルギー体系の時間的変化を表す新しい数学的概念を取り入れることとなります。(先週書いたHadamard GateのHと混同しないようにしてください。)そして私たちは、ハミルトニアンが適応されても変化しない状態を探します。James Whitfield氏が先のビデオで述べているように、このプロセスは、地球が自転しているにもかかわらず、回転の軸となる北極点が定まっていないということで知られており、それは、地球の自転において、動いていない地点を探す段階で見つかりました。

そのような状態において、私たちは方程式から、定数倍として得られるエネルギーを見つけることができるのです。数学的には、状態(vertpsirangle)を用いて(Hvertpsirangle = E_Gvertpsirangle)と書くことができます。 ベクトル(vertpsirangle)は固有ベクトル(eigenvector)と呼ばれ、(E_G)は固有値(eigenvalue)と呼ばれます。

量子アルゴリズムにおいて、私たちが状態を測定したとき、(E_G)の値は簡単に測定することができます。難題としては、前状態の(Hvertpsirangle)を用意し、ハミルトニアンに効果的に適応させることです。

この問題を解決するための最も基本的なアプローチは、量子位相推定と呼ばれるアルゴリズムを使用することです。

データの表現方法

アルゴリズムをデザインするうえで最初の問題は、扱うデータが何を意味しているのかを特定することです。現在の状態を表現するには、様々な方法があります。例えば天気のシミュレーションでやるかもしれないように、電子といった各粒子の動きをすべて追跡したり、また宇宙のある一点を追跡し続けたりするようなことです。どちらも問題の細かさによっては、究極的により効率的なのです。

Whitfield教授が言及されているように、実際問題としてより複雑な状態を表すために、アルゴリズムにおいては量子ビットを用います。彼が携わっているある実験において、量子状態は電子の位置や振幅ではなく、電子の相互関係に対応するように設定されていました。それ故に、量子ビットが多くなるにつれて、それらの状態に関して、より適切な答えが得られるようになります。

量子古典ハイブリッドアルゴリズム

上記のものを効果的に行うことは難題で、高い忠実度をもつ完全な量子コン ピュータが必要となります。この記事の最初で例示しているものが、一つの 代替案として発展しているものです。そのなかでも最も重要なアルゴリズム は、VQE(Variational Quantum Eigensolver)と呼ばれるものと、QAOA(Quantum Approximate Optimization Algolithm)の2つです。

問題への挑戦

Richard Feynmanはアルゴリズムと概念の構築において、非常に重要な功績を残しました。また、近年ではSeth Lloyd氏(MIT)のチームや、Alan Aspuru-Guzik氏(Harvard)、Ed Farhi氏(MIT)、Dave Wechker氏とKrista Svore氏(Microsoft)氏のチームが、具体的なアルゴリズムを作るための研究を進めています。これらはこの分野の研究者のごく一部です。昨年はホワイトハウスの何十人もの研究者が、非常に読みやすく、現代的な調査のためのワークショップを開いています。詳細研究記事はこのコースの最後にリンクがあります。

どのようにアルゴリズムが動いているかということの簡単な例は、いくつかの異なる実際の量子コンピューターによって示されてきました。2017年、IBMのQuantum Experienceチームは、彼らの7つの実験的な量子ビットはこれらの技術を用いて、小さないくつかの問題を解けるということがわかりました。(超伝導体に関しては、次週のハードウェアのセクションで学びます。)彼らは、水素化ベリリウムと同じくらいの大きさの粒子について実験を行いました。マイクロソフト社は、彼らのビジョンとしては、James Whitfield教授が、初週で述べているように、化学肥料の品質向上に役立つとして知られているFeMoCoに関してより正確な理解をすることであると述べています。

© Keio University
This article is from the free online

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