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Teleportation/テレポーテーション

Teleportation/テレポーテーション
A supporting figure depicts the explanation of “teleportation” in the article.
© Keio University

量子もつれの最も重要な用途の1つとして、量子テレポーテーションが挙げられます。量子テレポーテーションとは、ある場所にある量子ビットを破壊し、その状態を別の場所に転送する処理のことを指します。この技術は、量子ネットワークや特定の量子コンピューティングに欠かせない重要な要素の1つです。

ある場所から別の場所へ量子状態を物理的に移動させることは非常に困難なことです。 仮に、遠く離れた場所に量子状態を移動したい場合、量子状態を損なわずに比較的長期に保存することができることから、光子(光)を媒体として使用しますが、光子は道半ばで迷子になり、目的地にきちんと届かないことがしばしばあります。 1993年に、Bennett、Brassard、Crepeau、Jozsa、Peres、Woottersが、ベルペア(2量子ビットからなる量子もつれの一種)を利用することで、量子ビットをある場所から別の場所に転送できることを発見しました。

二者間でのやり取りに関する説明では、片方の人をアリス(Alice)と呼び、もう片方をボブ(Bob)と呼ぶのが業界の定石となっているので、ここでもそれを採用し、まず、ベルペアをアリスとボブ間で共有します。 物理的に光子を使ってベルペアを共有することは簡単なことではありませんが、世界中の研究所で実験的に達成されています。 この記事の冒頭にある図では、量子ビットAとBのもつれを、間の緑色の波線で表しています。物理的にこの波線が目で見えるわけではありませんが、図中でどの量子ビットがどの量子ビットともつれているかを表す際に採用されている一般的な手法です。

次に、アリスがボブに転送したいデータ量子ビット(上図のD)を準備します(または他の人から受け取ります)。 (データ量子ビットを作る手順が十分に簡単な場合は、単にアリスがボブに作成方法を共有した方が簡単かもしれませんが、この場合、手順が複雑であるか、量子ビットが大きな量子状態の一部であるか、もしくはアリスが他の誰かのために量子ビットを中継するように頼まれたかのどれかだと仮定します。)

次に、アリスは2つの量子ビット(上図のDとA)にベル測定(ある特別な測定手法)を施します。 測定後、ベルペアは破壊され、データ量子ビットの重ね合わせも同様に崩壊します。 よって、ボブが保持しているベルペアの片割れがある曖昧な状態になります。

ベル測定の観測結果から、アリスは古典的なビット情報を2つ得ることができます。 このビット情報のうち1つは、AとDのパリティビットであり、両方ともが0か1だった場合は偶数に、片方が0でもう片方が1だった場合は奇数になります。 同様に、もう一つのビット情報はAとDの相対的な位相差を表しており、位相が同一か反対かを表します。

それらのビット情報をアリスがボブに送信することで、ボブの曖昧だった量子ビットBの状態を、もとの量子ビットAの状態と同じになるように変換することができます。 つまり、アリスによって観測されたビット情報は、いわば、ボブの”死んだ”量子ビットを”生き返らせる”ことができるのです。 1つのビット情報は量子ビットBの値を反転する必要があるかどうかを、もう1つは量子ビットBの位相を反転する必要があるかどうかを示してくれます。 これらの情報を基に、ボブが適切に訂正を行うことで、データ量子ビットはアリスからボブに無事に、テレポートされたことになります!

少し前のステップで、量子もつれ用いたとしても、光速を超えた情報の転送を行うのは不可能であることを学びました。 上記で説明したように古典的なビット情報伝送を行い、それを元にデータ量子ビットを訂正する必要があることこそが、その理由なのです。 仮にボブが、アリスからのビット情報を待たずに量子ビットの測定を行ってしまうと、その測定結果からは情報的価値の存在しない乱数しか得ることができません。 データをうけとり、その解釈を知ってこそ、彼のデータは意味のあるものになるので。ある意味でこれは、鍵と、鍵があって初めて意味を成す暗号化されたデータのような関係性を持っています。

テレポーテーションはベルペアの量子もつれを破壊してしまうため、転送したい量子情報が複数ある場合は、その数の分だけのベルペアを準備する必要があります。

量子テレポーテーションは、将来の広域量子ネットワーク技術の土台になると言われています。 “ゲートテレポーテーション(gate teleportation)”として知られているある種のゲートを実行するため処理にも利用されます。また、多数の量子ビットからなる量子もつれに対して実行される”測定型量子計算”と呼ばれる特殊な量子計算において重要な鍵となります。 このコースでは、テレポーテーションを扱うことは今後ありませんが、非常に重要な要素の内の1つですので、是非覚えておいてください。

© Keio University
This article is from the free online

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