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ノグチルーム移設

ノグチルーム移設
© Keio University

ここまではノグチ・ルームの背景、歴史、成立について学んできました。ここからはいよいよ移設について詳しく見ていくことになります。その前に、第二研究室およびノグチ・ルームに関わる主な出来事を、移設の流れも含めて、時間を追って概観しておきましょう。

1950年

  • 5月:イサム・ノグチが来日。慶應義塾三田キャンパスを訪問し、第二研究室を設計中の谷口吉郎と出会う。谷口からの依頼を受け、談話室スペースにノグチ・ルームと第二研究室周辺の庭園をデザイン。
  • 8月:日本橋三越で「イサム・ノグチ作品展」(会場構成は谷口吉郎)を開催。《無》の原型が出品される。
  • 9月:ノグチ離日。

1951年

  • 8月:ノグチ・ルームを擁する第二研究室竣工。
  • 11月:ノグチが制作した《無》が西側庭園に設置される。

2002年

  • 1月:第二研究室があるキャンパス西側地域を法科大学院校舎新設の用地に選定。
  • 5月:ノグチ・ルームを含む第二研究室の解体が決定。一部は新校舎3階テラス部への移設が計画される。

2003年

  • 1月:解体の決定と移設の計画が報告される。
    これを受けてノグチ・ルームの保存を求める運動は活発化。慶應義塾に対して要望書等が出されるに至る。
  • 3月:慶應義塾教員11名とアメリカのイサム・ノグチ財団と連名で、著作物の同一性保持および同一性享受権に基づく解体・移設差止めを求める仮処分を東京地裁に申請。
  • 6月:東京地裁仮処分申請の却下。それを受けて、第二研究室の解体を開始。
  • 9月:第二研究室の解体工事終了。

2004年

  • 10月:移設後のデザインを隈研吾に、ランドスケープ・デザインをミシェル・デヴィーニュに依頼することを決定。

2005年

  • 3月:新校舎(名称:南館)3階テラス上に形を変えて移設、竣工

新校舎図面上の図からわかるように、第二研究室、特にノグチ・ルーム部分は新校舎の敷地から外れており、数多く慶應義塾に寄せられたノグチ・ルーム保存の要望・提案も、ノグチ・ルームを残しながら新校舎と統合する可能性を指摘するものだった。最終的に第二研究室はノグチ・ルームが入っていた部分と螺旋階段のあるロビーだけが切り取られ、南館のテラスに移築された。なお、現在の建物の向いている方角だけは、オリジナルと同じ向きになっている。(慶應義塾教職員用広報誌『OPEN』第10号(2003年3月号)掲載「三田新校舎工事について」より) 画像を拡大して見る

図面の比較 《無》は当初案ではオリジナルの状態に出来るだけ近い位置関係で設置することになっていたが、隈研吾とミシェル・ディヴィーニュの最終案では、南館のテラスへとつながる外階段から見上げる効果を優先してかそちらへ正面を向けており、第二研究室に対する位置および角度がオリジナルの状態とは異なっている。そのため、後のStep1.12で見るように、室内から見た位置は微妙に南側にずれることになった。それにより、当初ノグチが想定した室内、彫刻、庭園の空間芸術としての関係性は失われた。
さらに第二研究室の庭園に設置されていたノグチによる《若い人》と《学生》も第二研究室の解体と南館の建設に伴い撤去され、現在では南館1階のロビーで目にすることができる。画像を拡大して見る

この後のステップでの様々な角度からノグチ・ルームと旧ノグチ・ルームについて考えていく中で、上記の流れを確認しながら進めてください。

© Keio University
This article is from the free online

Invitation to Ex-Noguchi Room: Preservation and Utilization of Cultural Properties in Universities――旧ノグチ・ルームへの招待:大学における文化財の保存と活用

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