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材料と製法による分類

材料と製法による分類
日本の書物に使われる紙について、「原料」「製造方法」「加工」という視点からさまざまな紙をご紹介いたします。

原料による分類

紙は、使用される原材料に基づいて4つの主なタイプに分けることができます:

麻紙(まし)

麻類を原料とした紙。日本では主として苧麻(ちょま)が用いられる。(図1)

paper 図1 麻紙

楮紙(ちょし・こうぞがみ)

楮(こうぞ)を原料とした紙。(図2)

paper 図2 楮紙

雁皮紙(がんぴし)・斐紙(ひし)

雁皮(がんぴ)を原料とした紙(図3)。その優れた美しさのために、雁皮紙は伝統的に斐紙(「美しい紙」)と呼ばれています。(ステップ1.1のVideo 佐々木先生の発言を参照)

paper 図3 雁皮紙・斐紙

三椏紙(みつまたがみ)

三椏(みつまた)を原料とした紙(図4)。表面が滑らかではりのあります。雁皮紙ほどの光沢はありません。墨などがにじみにくいのも特徴です。以前に日本では紙幣にも使われていました。

paper 図4 三椏紙

製造方法の違い

製造方法の違いは、製造できる紙の厚さに大きく影響します。古くから利用されてきた原料を漉すだけの「澆紙法(ぎょうしほう)」と呼ばれる手法では厚手の紙しか作ることができません。それに対して、水中に原料を入れて漉く「抄紙法(しょうしほう)」と呼ばれる手法では、比較的薄い紙を作ることができます。

また同じ「抄紙法」の中でも「 溜め漉き 」と言う方法ではやや厚手の紙が作られ、「 流し漉き 」と言う方法では、さらに薄い紙を作ることができます。図5・図6で確認できるように、流し漉き で作った和紙は、透過性がありより薄くて柔らかく、溜め漉き で作った和紙は、より厚くいので透過性が低く、硬いことがわかります。

paper 図5 シートライトを使用し透過光で見た溜め漉き(右)、流し漉き(左)

paper 図6 流し漉き(左)、溜め漉き(右)

流し漉き」には次のセクションで紹介する粘剤を用います。また、漉く時間が短いため、水を切る時間がかかる「溜め漉き」と比較すると多くの枚数を漉くことが可能です。

製紙工程の詳細は次のセクションで詳しく紹介します。

参考文献

  • Timothy Barrett, Japanese Papermaking (New York: Weatherhill, 1983)
  • Handbook on the Art of Washi 『和紙の手帖(英語版)(全国手すき和紙連合会、1991)

© Keio University
This article is from the free online

古書から読み解く日本の文化: 和本を彩る和紙の世界

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