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第3週のまとめ

第3週のまとめ
© Keio University

第3週を通して、日本の古典籍では実に様々な装飾紙が使用されていたことをご理解いただけたと思います。

ここで取り上げていない、極く稀れにしか見られないものも少なくなく、日本でどれほどの種類の装飾紙が書物の製作に用いられてきたのかははっきりしません。

この事実は何を意味しているのでしょうか。まず最初に思い浮かぶのは、日本人の書物に対する愛情ではないでしょうか。書物を尊重し、それに手を掛けて美しく立派なものに仕立てることは、洋の東西を問わずに行われることでしょうが、日本人はそれに特に熱意を注いできた民族であるように思います。

中国の影響を受けた国々の前近代の書物が、その製作方法(装訂)において均一的な傾向が強いのに対し、日本ではバリエーションが豊富なことは、日本の書物文化の大きな特質の一つですが、そのことは装訂だけでなく、用いる紙の種類においても当てはまることでしょう。装訂と料紙には、当然のこととして密接な関係があると考えられます。写本よりも版本に重きをおいた中国や朝鮮半島の国々で、出版に適した装訂が他の装訂を駆逐し、印刷の大量生産に適した紙が多用されたのと異なり、写本中心の時代が長く続いた日本では、保存する内容や製作目的に応じた装訂が選択され、それに合わせて利用する紙も多くの種類の中から選択されたのです。

日本の書物に用いられた紙の種類の豊富さ、その装飾技術の精巧さ、またそれらの美しさは、日本の書物の性質を象徴していると言えるでしょうし、ひいては日本文化の特質を表していると言っても許されるのではないでしょうか。

書物の装飾紙からは、製作された時々の日本人の美的感性を知ることもできますし、加工の技術水準を伺うこともできます。また装飾には流行がありますので、その変遷を知っていれば、その書物の製作年代もおのずと明らかになります。江戸時代前期が王朝文化の華開いた平安時代を濃厚に意識していたことも、装飾紙の技法の共通性から理解することもできるのです。

書物研究において、料紙の研究が重要な分野であることは言うまでもありません。料紙を含めた書物の研究は、必ずその製作地域の文化史研究に繋がるからです。第3週の内容を通して、日本の装飾紙の美しさや面白さを知っていただくと共に、日本の古典文化にさらに興味を持っていただけると幸いですが、皆さんの身近にある書物の料紙にも目を向けていただくきっかけとなれば大変嬉しく思います。

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