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その他の装訂

その他の装訂

珍しい装訂を挙げていくときりがないのですが、比較的見かけるものをいくつか挙げておきましょう。

畳み物(たたみもの) 

これは大きな面積を使用したいための装訂で、糊で継いで大きくした紙を縦横に規則正しく折り重ね、その表と裏に表紙を貼り付けた装訂です。

Kyō ōezu 図1. 京大絵図
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地図や図表あるいは双六(すごろく)等に用いられました。数え方の単位は「舗(ほ)」を用います。

単葉装(たんようそう)

かなり珍しいものですが、折々見かけるのが単葉装です。これは折目のない紙を重ねて綴じただけのものです。

Genji kokagami 図2. 源氏小鏡
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最も単純な装訂と言えますが、一般的なものではなかったのです。表紙は袋綴と同様に糸で綴じられていたり、結び綴じのようになっていますので、外見だけでは判断つきません。

結び綴(むすびとじ)

これは装訂というよりも表紙の付け方と説明した方が判りやすいものです。冊子体の書物の表紙の背に近い部分に、二つ組になる穴を2組以上開け、それぞれ背後から紐や束にした糸などを通して、表で飾り結びにしたものを言います。

Baien kishō 図3. 梅園奇賞
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装飾性の強いもので、綴葉装にも袋綴にも見られるものです。平安時代の12世紀には存在しています。「大和綴(やまととじ)」とも称されますが、これは綴葉装のことにも使われる詞ですので注意が必要です。

包背装(ほうはいそう)

冊子体の表紙を表裏2枚に分けず、一枚で全体を包むようにしたものです。

Embun hyakushū 図4. 延文百首〔室町末〕写
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背の部分だけを紙で包んで糊付けする部分的なものもあります。粘葉装や綴葉装でもないわけではありませんが、袋綴のものが一般的です。室町時代の16世紀頃のものに目立つようです。以上は表紙の付け方ですので、数える単位は紙の綴じ方に従うのがよいでしょう。

このように和本には少なからぬ装訂法があり、それらが使い分けられていたのです。巻子装が最も権威があったと説明しましたが、上質な紙に麗しい文字で書かれた巻子装であったとすると、そこに保存されている本文も素性の良い研究的な価値の高いものであることが期待できます。最も簡略な袋綴での本でも、作者や学者の草稿である場合もありますので、冊子体であればそれだけで素性が悪いという訳ではありませんが、期待できないものの比率が高いことは事実です。同じ作品でも装訂が異なる本があった場合、その装訂の違いの意味を考える必要があるのです。

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古書から読み解く日本の文化: 和本の世界

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