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物語の写本

物語の写本
© Keio University

それでは作り物語の綴葉装写本はどうでしょうか。こちらは六半本が圧倒的に多いのです。慶應義塾大学にある例を挙げてみましょう。

作り物語の綴葉装写本『源氏物語』

最初の例(図1)は断簡ではありますが、『源氏物語』の本文としては最古のグループに属するものです。先に六半本の例として挙げた『源氏物語』「若菜上」は室町時代の16世紀初め頃のものです。この物語の鎌倉時代からの典型的な形態は六半だったのです。

fig1 and fig2 図1(左).『宿木』 六半
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図2(右). 空蝉 四半
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作り物語の四半写本

これに対し、作り物語の四半写本はかなり珍しい存在で、慶應義塾大学には幸いにその例を所蔵しています。 この例(図2)も断簡ですが、1頁に6行と大変ゆったりと書写されており、大変贅沢な紙使いのものとして注目できます。 次の例(図3)の8行書も贅沢なものです。これらに共通するのは文字も書の名手によって丁寧に書かれているということです。このことからすると、珍しい四半本の作り物語は高貴な人物への献上などの特別な目的で製作された可能性があると考えられます。 ここに挙げた事例だけでは十分ではありませんが、ある程度の残存数を確認できる13、14世紀の綴葉装写本においては、歌書では四半本のほうが六半本よりも使用率がかなり高く、作り物語では六半本が圧倒的で四半本は相当珍しいという傾向を把握することができます。

*Suetsumuhana* 図3. 末摘花 四半
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この傾向は何を意味しているのでしょうか。歌書の巻子装が存在するのに対し、作り物語は本文のみではこれがないことからすると、和歌作品が保存されることの多い四半本の方が、作り物語を保存することの多い六半本よりも書物としての格が高いと考えられるのです。

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