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第2週のまとめ

第2週のまとめ
© Keio University

Week2はいかがでしたか?ここで学んだことをまとめてみます。コメント欄に感想などをお書きください。

再装訂

装訂において明らかに問題となるのは、書物がしばしば異なるフォーマットでリバインドされることです。貴重な古書でさえ、元の書物の形式とは全く異なる形式でリバインドされていました。書物は通常であれば、その価値を高めるためにリバインドされてきましたので、どのような書物がリバインドされてきたのかを追うことで、その価値を学ぶことができます。一般的には、リバインドはそれほど価値のない形式から、価値を高める形式、権威のある形式へと単一方向のものばかりでした。書物であったものが巻物になるということは、巻物自体がその地位の高さを象徴していることを表します。日本の伝統的な書物文化においては、巻子装という存在に対しては特に注意を払いながら理解を進めていくことが大切です。

内容と形式

日本で用いられた装訂で最も格の高かった巻子装は、そこに保存される作品を選ぶ傾向がありました。中国の伝統を受け継ぐ漢字で書かれた作品は当然のこととして、日本で漢字から生み出された平仮名を用いたものでは、漢詩の影響を強く受けた和歌や、史実を踏まえた歴史物語などは保存されたのに対し、創作的な作り物語は保存されませんでした。このことは、仏教的な考え方が強い影響力を有し、創作は嘘をつく行為で仏教的な罪にあたると考えていた当時には、作り物語の社会的な地位が低かったことを示していると考えられます。

外題の位置

和歌と創作的な物語とでは、表紙のどの位置に題名を加えるかという点でも違いがありました。和歌は表紙の左上に、作り物語は表紙の中央に題があるのが基本でしたが、左上は巻子装の表紙の題と共通する位置であり、巻子装との関係の近さを示しているのです。逆に中央は巻子装に保存されない内容であることを示すものでした。

冊子本のサイズ

また冊子体で最も格の高い綴葉装には、主要な形態として長方形の四半本と正方形の六半本の2種がありました。前者は和歌での使用例が多く、後者は物語での使用例が目立つことから、四半本の方が六半本よりも格が高いことが理解できるのです。

絵入の本

書物は文字ばかりではなく、絵を保存する道具でもあります。絵も文字と共に中国から巻子装に保存されて伝わってきたためか、日本では絵は巻子装に保存するものという考え方が強く、本文だけでは巻子装に保存されない作り物語も、挿絵があると巻子装で作成されました。このような慣例が存していたために、日本で絵入りの冊子本が登場するのは16世紀になってからのことでした。

奈良絵本

絵入り冊子本はまず構造的に巻子装と共通性のある袋綴で制作され、これが広まった後に綴葉装でも作られるようになりました。絵入り冊子本が登場した頃から17世紀に掛けて、「奈良絵本」と呼ばれる絵入りの冊子本や巻子装の写本が流行しました。

マンガ文化の原点

保存される装訂や方法は変わって行きましたが、日本において、絵入り本は8世紀以来の長い歴史を有しています。日本は今日マンガの国として知られていますが、日本の絵入り本の歴史を振り返る時、マンガはその伝統を受け継ぐ存在であることがよく理解出来るのです。

次週について

第1週と第2週では、主に「写本」(手書きの本)に着目してきました。最終週では、「印刷」の文化について解説し、版本がどのように普及していったか、そして江戸時代(1603-1868)の文化にどのように影響を与えたかについて議論していきます。また、その中では絵入り本出版についても触れていきます。第2週で紹介した絵入り写本の普及を受けて、17世紀初頭頃から本格的になってきた平仮名の出版物においても、絵入り本が数多く制作されるようになり、手で彩色を加えたものも程なく現れました。写本の挿絵には周囲に枠はないものであるのに、版本の挿絵には枠がありました。絵入り冊子本の登場や、挿絵に枠があることの理由は共々不明ですが、西洋の書物の影響も想定できるのです。

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This article is from the free online

古書から読み解く日本の文化: 和本の世界

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