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学僧から武士へ

学僧から武士へ
© Keio University

室町時代も後半を迎えると、応仁の乱(1467)で荒れ果てた京の都を去って、地方の大名の元へ学問の庇護を求めて行く公家や学僧が多くなりました。

やがて、有力な大名は武力だけではなく、文化的背景をもって、自国の権益を強大にしていきました。彼らを歴史では戦国大名と呼び、戦時体制の充実を至上課題とする武家社会の象徴と考えられています。しかし、この頃から、武士は武力だけでは権力が維持できないと考えるようになり、禅宗に帰依し、学問や仏教だけでなく、茶道や絵画や建築といった禅僧の好む文化を吸収していったのでした。所謂、室町文化の一側面であります。

それが、やがて、豊臣秀吉や徳川家康のような文化を理解する秀でた大名を生むことになって参ります。

戦に明け暮れながら、書物を集め、それを読んでいたのですから、恐るべき集中力を持っていたと言わねばなりません。

文之玄昌(ぶんしげんしょう 1555~1620)という臨済僧は、薩摩島津の庇護を受けて、『論語』に訓点を施し、所謂、文之点(ぶんしてん)『四書』(大学・中庸・論語・孟子)(fig.1)を出版して一世を風靡しました。それは応仁の乱の後に、中国明(みん)に渡って新しい学問を輸入した桂庵玄樹(けいあんげんじゅ 1427~1508)の学統であり、両者はともに京都の寺院に住し、帰郷して島津の文化に貢献した学僧でした。

Old Book Fig.1 『四書大全』
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秀吉の軍師、竹中半兵衛の子に重門(しげかど 1573~1631)という人がいました。この親子は軍人として一流ながら、大変な書物好きで、行軍に随行する馬に書物を載せていたと言われています。関ヶ原の合戦では石田方西軍でありましたが、後、東軍に寝返りました。戦国のこととて、一刻の予断も許されません。この重門の読んだ『論語』があります(fig.2)。恐らく、手放すことなく持ち歩いた愛読書であったに違いありません。訓点の書き入れもあるいはその手になるものでしょうか。華々しい武勲よりも、こうした読書人としての姿に私たちは惹き付けられるのではないでしょうか。

Old Book Fig.2 『四書集注』
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訓点について

訓点とは、漢文を(日本語として)訓読するためにつけられる、返り点・送り仮名・振り仮名・ヲコト点などの符号を示します。例えば以下のような役割があります。

  • 語順の調整:日本語の文章は主にSOV型、あるいはOSV型ですが、中国語はSVO型です(S:主語/O:目的語/V:動詞)。返り点は、漢文を日本語の語順にあうように読む順序を示します。

  • 句読点:漢文には多くの場合句読点が振られていません。日本の読者のために、区切りを示す、句読点(、や。)がこの種類の訓点です。

  • 読み仮名:日本では、漢字の読み方が複数あります。そのため、漢文の脇に、読み方が添えられている場合があります。

Fig2 の書籍を例に。本文と訓点を確認してみましょう。これは有名な論語の一節です。以下の図(Fig3)をご覧頂くと、本文、注釈、訓点などがこのページに混在して表記されているのがわかると思います。

What are reading marks (_kunten_)? Fig. 3 What are reading marks (kunten)?
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古書から読み解く日本の文化: 漢籍の受容

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