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林羅山の著作

林羅山の著作
羅山の著作活動は多岐にわたっています。その特徴は、

  • 勃興してきた商業出版と連携して、多くの著作を出版したこと。
  • 自らの著作だけでなく、儒学の古典に漢文訓読のための符号(訓点)を付した、付訓本を多く出版したこと。これはWeek2で、論語について学んだことと思います。
  • 著作は、純粋な漢学だけでなく、それを仮名交じり文でわかりやすく説いた啓蒙的なものも多く含んでいること。
  • 日本の歴史や宗教に対する深い関心があり、その関係の著作も多いこと。

などが挙げられます。

いくつかの例を取り上げましょう。書籍情報と高品質画像は特設サイトでご覧ください。 また、慶應義塾所蔵以外で公開されている資料については、SEE ALSOを参照してください。

『歌行露雪』

Old Book 図1 『歌行露雪』慶長元年(1596)写 (国立公文書館所蔵), p29-p30

国立公文書館所蔵の自筆本です。白居易の長編詩「長恨歌」「琵琶行」の注釈を、学問の師のひとりである英甫永雄の講義を基にまとめたものです。まだ建仁寺で学問見習い中の14歳のときの著作で、上記画像 (図1) には、早熟の天才への称賛を惜しまない、英甫自筆の文章と詩が綴じ込まれています。全文は国立公文書館で公開中です(SEE ALSO参照)。

『五山文編』

Old Book 図2 『五山文編』 元和3年(1617)写(国立公文書館所蔵)

これも国立公文書館所蔵の自筆本で、14世紀から16世紀にかけての五山僧の文章を自ら選んで集めたものです。五山の学芸を継承しつつ、それを乗り越えようとする意欲が感じられます。全文は国立公文書館で公開中です(SEE ALSO参照)。

『羅山林先生集』

Old Book 図3 『羅山林先生集』寛文2年(1662)刊
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生涯の漢詩文を分類集成した詩文集。詩集・文集それぞれ75巻という膨大なものです。

『童観抄』

Old Book 図4 『童観抄』17世紀前半刊
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漢籍からことわざになるような有益な文章を抜粋して、その内容をわかりやすく解説したものです。

『古文真宝後集諺解大成』

Old Book 図5 『古文真宝後集諺解大成』
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『古文真宝後集』の注釈書。「諺解」とは、漢文ではなく和文でわかりやすく解説している、という意味。弟子の鵜飼石斎(うかい・せきさい)がまとめたものです。

『本朝一人一首』

このほか、大名や旗本の系図をまとめた『寛永諸家系図伝』、後に息子の鵞峰によって『本朝通鑑』として完成する日本通史『本朝編年録』、各地の神社の由来を記した『本朝神社考』などがあります。

さらに、鵞峰には、日本の漢文学の歴史を辿り、漢詩作品を作者一人につき一首取り上げて論評した、寛文5年(1665)刊『本朝一人一首』(fig.6) という著作があります。

Old Book 図6 『本朝一人一首』寛文5年(1655)刊
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ここで取り上げているのは主に平安時代の漢詩人で、五山僧は一人も出てきません。鵞峰は、自分たち林家と幕府との関係を、平安時代の学者貴族(博士家)と朝廷との関係のように考え、五山を飛び越えて、彼ら貴族の学者と自分たちを接続させようという意識がありました。羅山のなかにもあった、五山とのつながりを断ち切ろうという意識が、息子の鵞峰によって明確に示され、漢学者が禅宗寺院から完全に独立することになったのです。

© Keio University
This article is from the free online

古書から読み解く日本の文化: 漢籍の受容

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