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漉きによる加工:雲紙

漉きによる加工:雲紙

ここからは、紙を漉く際に装飾を加える技法について説明し、併せてそれらを用いた書物をご紹介します。

まずは、日本の装飾料紙を代表する存在といえる「雲紙(くもがみ)」について説明します。

雲紙は、打曇(うちぐもり)、内曇紙(うちぐもりがみ)とも言われ、漉き上げた白い紙の上に、色染めした紙料を上下の部分に重ねて漉いたものです。色のある部分は紙が重層構造になっているのです。その色は藍と紫の二色が基本で、藍のみ紫のみで漉くこともありました。江戸時代の18世紀頃になると緑色や茶色、灰色など多彩な色を用いるようになります。

平安時代から息長く用いられ、料紙としてはもとよりのこととして、表紙や表紙に貼られた題名を記した題簽(だいせん)などと、幅広く利用されました。室町初期の14世紀末頃からは、和歌会で和歌を提出する際のやや簡略な用紙として、この雲紙を用いた短冊(たんざく)を利用することが定着しています。

短冊では藍色が上で紫色が下にくるように用いるのが約束事でした。これは藍は空を紫は大地を意味しているという風に説明されています。逆は天変地異に繋がるわけですね。また極楽からお迎えが来る際には紫色の雲がたなびくと信じられていましたので、紫色が上だと死を連想させて不吉だというのですね。ですから逆に、人の死を悲しんだ歌は紫色を上にして使うことがあります。また藤や萩、牡丹などの紫色の花を題として詠んだ歌も、紫を上にしてよいとされています。いずれにせよ、紫色が上の短冊はかなり珍しいものです。こうした約束は雲紙を書物に利用する際には適応されないようです。

それでは実際にビデオで、その美しい雲紙を使った書籍をご覧ください。

ビデオで紹介されている書物

その他の例

この他の興味深い例として短冊コレクションがあります。

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古書から読み解く日本の文化: 和本を彩る和紙の世界

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